ノンフィクションライター川﨑利江子
本と旅と着物、花と樹木と、そして真実の美を求めて…。女性誌を中心に美容、着物、人物インタビューなど幅広く執筆。現在、月刊『VOCE』(講談社)にてコスメを科学的&客観的に考察する企画「実験VOCE」を連載中。
 

2008年6月27日 (金)

私の髪、彼女がいないと困るんです

806271526000_5 今日、髪を切りました。

かなり伸ばし放題だったので、肩ぎりぎりくらいまで切って、すっきりしました。

カットしてくれたのはヘア&メイクアップ・アーティストの大和田一美さん。

CMや映画、舞台ヘアメイク・プロデュースのお仕事を中心に

アペレア」というヘアサロン&ネイルサロン&ヘッドスパetc.と、

美しくなるためのすべてを創り出すサロンも持っていらっしゃいます。

もう何年、彼女に髪を切ってもらっているでしょう。もう7~8年になるかもしれません。

出会って以来、「おわちゃん!」と気さくに呼ばせていただいている、大好きな女友達の一人です。

これほど長く、大和田さんを信頼してお願いしているのは、

彼女でなくては困る理由があるからです。

 

一つは、髪を切ってから時が経てば経つほど素敵になっていくこと。

髪を切った後はきれいだけど、日にちが経つとボサボサになっちゃうということはありがちですが、

大和田さんの場合はどんどんきれいになるのです。

今日も鏡の前に座ると、「このままがいちばんいいんじゃない?」と言われて、

「そのとおり!切っちゃうのがもったいないくらい!」と思ったくらいです。

カットの技の違いだと思いますが、

長くなるほどにエレガントなニュアンスが出てきて、女らしいイイ雰囲気になっていくのです。

そう、日に日に素敵に、私にいちばん似合う髪形になっていくみたい! 

これって、とても嬉しいことだと思いませんか。

 

もう一つ、彼女でなくてはならない理由は、

着物のアップヘアがしやすいようにカットしてくださること。

わりとよく着物を着る私は、自分でアップヘアにします。

実は大和田さんは現代の髪結い師!

明治時代のモダンな和髪や白無垢の花嫁さんの日本髪など

和の髪結いのテクニックも持っていらっしゃいます。

だから、「着物のアップヘアが上手にできるカットにしてほしい」という

私の願いをちゃんと受け止めて、カットをしてくださるのです。

カットの最中も、髪の長さはちゃんとアップにできる長さかどうか、

前髪は着物ヘア用にふわりと流せるカッティングになっているかを確かめてくれます。

以前、予定がどうしても合わなくて、別の美容室でカットしてもらったら、

毛先がバラッバラになって、アップにできない髪形になってしまい、涙、涙でした。

ちゃんと着物ヘアとしてアップできるように、と頼んだのに。

その後、大和田さんに修正してもらい、スムーズにアップヘアが作れる髪に戻るのに

1年もかかりました。もう、ほかの美容室ではこわくて髪を切れません。

そうそう、ずいぶん前、髪が背中の真ん中くらいまであった頃、

「お嫁に行くときは自髪で日本髪を結わせてね」なんて言われたことがあります。

普通はカツラですが、私の長さと丈夫さの髪なら結えると言ってくれて、

嬉しく思ってましたが、憧れの綿帽子をかぶる気配は全くありません。

 

出不精な私は3ヶ月に1回くらいしか髪を切りません。

だから今日は思い切って短くしました。でも着物のアップヘアはばっちりできます。

次に切ってもらうのは秋になるかもしれませんが、大和田さんのカットなら安心なのです。

 

806271525001_5 サロンの窓からは素敵な緑の風景が見えて、

都会のど真ん中にあるとは思えないくらい素敵な空間。

小鳥のさえずりが聴こえてくることも!

 

●大和田一美さんのサロン

APREA(アペレア)

東京都渋谷区神宮前6-31-10

 マンション31 B棟 201202

TEL 03-3499-2392

 

2008年6月23日 (月)

歌舞伎<6> 福助さんのまぶたメイク

六月大歌舞伎を観に行きました。

昼の部で観た、染五郎さんと福助さんの長唄舞踊「俄獅子(にわかじし)」、

福助さんの舞台化粧が浴衣や着物メイクの参考になるかも・・・と思いました。

その日、「俄獅子」での福助さんは芸者、染吉の役。

まぶたの上に赤とピンク色のグラデーションでまあるく

好きな人に声をかけられてぽっと目元を染めるみたいな感じに

入れていらっしゃいました。

ぼかし具合が絶妙で、全然大げさではありません。

目尻にも赤を濃いめに入れてあるのが女らしさを増しています。

これをこのまま薄くして、ファンデの上にのせたら、

きっと着物に似合う、ほのかな色香の優しいアイメイクが出来上がるはず。

そういえば福助さんのメイクを薄くしたこの感じ、着物入門したばかりの頃、

着物好きの年上女性に習ったメイクのしかたにそっくりです。

まぶたにまあるく、淡いピンクのアイシャドウ、

目尻には赤とオレンジが混ざったくらいのアイシャドウを。

まぶたと涙袋のちょうど間くらいに、細い筆でこめかみ方向にスーッと

5ミリくらいの長さの線を描くのがポイントです。

歌舞伎でも宝塚でも小劇場の舞台でも、メイクや衣装を観察して、

そのまんまじゃなくて、その美意識を盗む感覚で、

自分流にアレンジしてみるのって楽しいですね。

 

 

★歌舞伎座百二十年 『六月大歌舞伎』

618日(水) 夜の部

「義経千本桜 すし屋」

「身替座禅」

「生きている小平次」

「三人形」

歌舞伎座にて、627日まで。

 

69日(月) 昼の部

「新薄雪物語」

「俄獅子」

 

 

2008年6月19日 (木)

ママとの約束

わたしがまだ小さな小さな子どもだった頃

ママが病気になった。

天国からお迎えがくるかもしれないと誰かがささやいていた。

パパがわたしを連れて、病院にお見舞いに行った。

私はごついセーターを着て、毛糸のタイツをはいて、

白い帽子をかぶっていた。

夏の暑いおひるの時間。

わたしはママのベッドのそばで、「ふーーーっ」とため息をついた。

ママは「まあ、たいへん!」と思った。

こんなに暑い日なのにタイツまではかせて、パパッたら、もおっ。

「パパだけにまかせられないわ。

この子のためにも生きなくっちゃ」とママは決心した。

だから、わたしは生きている。

ママも一緒に生きている。

 

それから何年も経って、大人になって

悲しいことがたくさん重なって

わたしが泣いていたとき、ママが言った。

「わたしより先に死んではいけませんよ」

ママとの約束を、わたしは守る。

今もわたしは生きている。

 

 

08619dh000069 ママが種を植えたミョウガが芽を出した。

 

2008年6月16日 (月)

男と女の計算式

友人の結婚式でスピーチをした女優さんが面白いことを言っていた。

「ひとつの計算式があります。

あなたはどちらが好きですか?

1×100100 または 10×10100

どちらも100になりますが、さて、あなたは?」

 

そう質問して、披露宴会場にいた人たちみんなに手を挙げさせたのだが、

私は迷うことなく、“10×10100”の方に「はいっ」と手を挙げた。

ところが、“10×10100”は男、

1×100100”は女、だという。

男と女との性質の違いを表した計算式なのだと。じゃあ、私は男的性質ということ!?

どういうこと意味かというと、

男は10人の女性を愛せて、10人の女性からも愛されたい。

でも、女は1人の男性だけを愛して、100人分の愛情を注ぐ。

だから、新婦にはだんな様たった1人に100の愛を注いで、幸せな家庭を築いてください、

というオチの祝婚スピーチだった。

うーむ。

そうかしら・・・?

私は同じ100になるなら、男も女もいろんな人と関わって(Hな意味じゃなく)、

自分が持つ10のいろんな面が掛け合わさって、

100の関係性、100の未来を作っていったほうが素敵だと思ったので、

10×10100を選んだ。

1×100100って、自分1人が中心でとても自分勝手な気がしたのだ。

という思いを話してくれた女優の山本艶さんにお話したら、

「男と女との関係に限って、そういう傾向にあると思うのです」と

私より遥かに年上の貫禄のある女性は答えてくださった。

会場にいた人は、男のほうが1×100100を選び、

女のほうが10×10100を選んだ人が多かったのだが・・・特殊な人々が集まったのかしら。

 

って話をみんなとしてて、じゃあ私はやっぱり1×100100のほうにして、

1人に100人の男が愛してくれるのがいいなあと言ったら、

「それはないものねだりというものだよ」と友人に笑われてしまった。

 

2008年6月13日 (金)

キューピーちゃん

806121000000 「実験VOCE」の撮影では

まるで科学者のように、いつも白衣を着ています。

「案外、白衣が似合うわ、私」と思ったりして。

 

昨日はクレンジングSelect10の実験でした。

白衣の向こうに見えるキューピーちゃん、

どれだけ落とすか?実験のために、

濃~いメイクをされています。

今どき、こんなガングロ・ファンデを塗ってる人はいないと思いますが、

年々フィット感がよくなって、毛穴もばっちり埋める優秀ファンデを

しっかり落としてくれる1本を見つけるため、

できたらマスカラまでするりと落としてくれたら言うことなし!と思う

面倒くさがり屋さんのため、

可愛い可愛いキューピーちゃんはこんなメイクをされてしまったのです。

 

うしろ姿の3人は

クレンジングを終わって、顔もきれいに洗って

ぴかぴかになりたてのキューピーちゃんです。

「あーさっぱり」という声が聞こえてきそう。

「変なメイクして失礼しちゃうわ」

「私たち、清潔さで売ってるのに」という囁き声も聞こえてきます。

コスメ実験でさんざん使って、

最近、シミ、ソバカスがついてきたみたい・・・ごめんね。

 

806121121000_2 このキューピーちゃんによるクレンジングOIL&MILKの結果はもう少し先、

723日発売の『VOCE』(講談社)9月号に掲載予定です。

 

2008年6月12日 (木)

その美しい人が選んだもの

今日、電車で目の前の席に、美しい女の人が座っていました。

銀色の刺繍がほどこされたエレガントな黒いセーターを着ています。

ゆるやかなカールが色白の肌を引き立てています。

その美しさに似合わない、ドラッグストアの黄色いビニール袋を手にぶら下げていました。

歩くたびにクシャクシャと音がなるビニールです。

そのアンバランスさに何が入ってるのだろう?と思って見てみると、

 

汗脇パットの箱が入っていました。2つも。

ああ、この美しい女性は汗をいっぱいかくんですね、

汗脇パットがないといけないくらい脇の下から汗をかくんですね。

本当に?

彼女はこれから家に戻って、お気に入りの服にはすべて汗脇パットをつけるのでしょう。

センスのよいセーターにも、白いシャツにも、ジャケットにも、カットソーにも。

ちくちくちくちく。あ、いえ、見たことがないのでわかりませんが、

縫いつけなくても、両面テープか何かでとめられるようになっているのでしょう、多分。

汗が出るなら出るままに、そういう生き方をこの女性はしないのですね。

脇がもぞもぞしているとせっかくの素敵な服も台無しになるようで、私は好きではありません。

夏はどうしても気になるときもありますが、ストールをはおって、汗がひくのを待ったり、

家に戻ったら、服を脱いですぐその日のうちに洗えばいいし、

ジャケットならクリーニングに出せばいい。

それよりも、

この美しい人は汗脇パットをつけることを人生で選択しているのです。

 

あなたが買うものは、あなたが選ぶ人生を象徴しているものです。

あなたの身のまわりにあるものは、あなたの歩いていく人生そのものです。

だから、本当に欲しいものだけを買わなくてはいけないし、

本当に欲しい人だけを選ばなくてはならないと思います。

 

 

 

805241250000 恥じらいの白バラ。

 

 

 

2008年6月11日 (水)

澁澤龍彦回顧展

806091759000 澁澤龍彦回顧展に行きました。

生誕80年を記念して開かれたのでした。

図録をめくっていたら、原稿用紙に書かれたタイトルが目に飛び込んできました。

「穴ノアル肉体ノコト」。

晩年、澁澤さんが呼吸するために喉に穴をあけた自分の姿について描かれたエッセイでした。

中身の文章よりも、タイトルに惹かれました。

原稿用紙の枠からはみ出るように書かれた文字を見ていると、

女には男より、穴が一つ多いのだなあと気づいて、感慨深げな思いに駆られました。

そうか、だから女がぼんやりしていると、

男はその穴からするりと逃げていってしまうのだろうか・・・。

反対に、いつの間に入り込んだのかしら? と思うこともあって、

そんなときは丁重にお辞儀をして、出て行ってもらうことにしている。

 

 

806071630001 神奈川近代美術館にて。

花は「ローズ・ヨコハマ」という名前の黄色いバラ。

806071335000 美術館に行く途中、港の見える丘公園に咲いていました。

 

2008年6月10日 (火)

貝がかかとに生える

3年前のことだ。

かかとに貝が刺さってとれなくなった。

沖縄の海で遊泳禁止のところを沖に向かって泳いだのだ。

監視員に拡声器の声で止められるまで泳ぎ続けた。浜に戻ってみたら貝がかかとに刺さっていた。

一緒に泳いだ友人はウニの針が刺さって、すごく痛いので係員にとってもらった。

私はぜんぜん痛くなかったのでそのまま放って東京に帰った。

そのうち取れるだろうと思っていたら、

傷口が次第に硬くなってきた。

しばらく経つと、円を何重にも描いたような形をしてきた。

歳月を経て大きくなった貝殻の表面に現れた年輪のようだ。

そのうち、円の中心から海藻のようなヒラヒラした深緑色の毛が生えてきた。

おふろに入るとゆらゆら揺れる。

指でこそぎとるとすぐ取れる。けれど、2、3日もするとすぐ生えてくる。

藻は取っても取っても生えてくる。

かかとに出来た貝の年輪は日に日に硬さを増し、本当に貝殻のような形になってきた。

ずいぶん前に聞いたのだが、海で怪我をした人のひざの傷口からフジツボが入り込み、

人間の体液はフジツボが成長するのにちょうどよい栄養分と水分があるらしく、

違和感を感じたその人が病院に行って皮膚を切開すると、

ひざの皿に小さなフジツボがびっしり生えていたという話だった。

もしかすると、私のかかとには貝が生えたのかもしれない。

ああ、きっとそうだ。

深緑色のヒラヒラした藻が生える貝だ。

取っても取っても生えてくるのは貝が生きているからだ。

痛さも半端じゃなくなってきた。

何か得たいの知れない歯の鋭い生物が食いついているみたいな、

指をドアにつめたときのようなひどい痛さだ。

ひと月も経つとかかとをついて歩けなくなった。

ああ、きっとそうに違いない、私のかかとに貝が生息している。

あまりにも痛いし、このまま貝がかかとに棲みついてしまっては困ると思って、病院に行った。

 

「かかとに貝が生えているみたいです」

医者に言うと、馬鹿かというような顔で見られた。

「ほら、ここ」 素足になって見せると、呆れられた。背中を向けられた。

「貝殻のかけらが入って取れなくなっているだけです」と後ろ向きで言う。

「さ、そこに寝て」

「は?」

診察台を指差すのでしかたなく寝転ぶ。

やっとこちらを向いたと思ったら、メスを片手に持って、

「ものすごく痛い注射で麻酔をするのと、このままメスで切るのとどっちがいい?」と聞いてきた。

呆れ顔は直らない。

迷っていると、「メスのほうが注射よりは少し痛くない」と言うので、メスを選んだ。

医者がかかとをつかんだと思ったら、グイッぐにゅにゅにゅ、ザクッ。

手術時間約1分。

「はい、とれました。貝のかけら、持って帰る?」

見ると、ミリくらいの四角い、小さな白い貝のかけらだった。

私はティッシュに丁寧に包んで持って帰ることにした。

 

私の貝は強引にメスで切り取られた。

藻はもう生えてこない。

806100947000333_2 大事な子供を奪われたようで哀しくなった。

 

2008年6月 9日 (月)

バオバブの成長

806081037000

バオバブくんがまた大きくなりました。

この間、葉っぱが一気に3センチくらい大きくなったと思ったら、

今日測ったら、5センチ近くまで伸びていて

葉っぱは全部で7枚になりました。

まだ1ミリにも満たない新しい芽もぐんぐん育っていきそうです。

 

 

 

「愛しい、愛しい」と思いながら育てると、