ノンフィクションライター川﨑利江子
本と旅と着物、花と樹木と、そして真実の美を求めて…。女性誌を中心に美容、着物、人物インタビューなど幅広く執筆。現在、月刊『VOCE』(講談社)にてコスメを科学的&客観的に考察する企画「実験VOCE」を連載中。
 

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2007年3月27日 (火)

感じる旅

旅をするとき、いちばん大事にしていることは“感じる”ことだ。

その街の匂い。

目を閉じて、匂いを感じる。

それから、風の感触。

とろんと柔らかかったり、ナイフみたいに鋭かったり。

差し込んでくる光の色は胸のあたりで受け止める。

朝、顔を洗ったときの水の冷たさも国によっても、日本国内でもぜんぜん違う。

2月、ベニスを旅したときは、土壁のような苔のような土っぽい匂いがした。

迷路のような小道を歩くたびに、土の匂いが追いかけてくる。

忘れられないのは運河の光。

路地にかかる小さな橋の下を通るとき、ゴンドラにつけられた銅製の馬の飾りが、橋の壁にキラキラと映って、不思議な光を作り出していた。

レンガ色の壁を通り過ぎると、水面でさーっと青色にゆらめいて、すぐに消えた。

橋の下を通ったときだけ、映る馬の光。

私が「きれい」「嬉しい」と感じることを積み重ねることが、自分自身の“美”を創り出すことにつながると思う。

ヴェネチアン・グラスの職人が集うムラーノ島では、

透明のガラスのバラが美しいキャンドルスタンドを見つけた。

誰に感じてもらったのでもなく、私が「愛しい」と感じるものと出会う感性も磨かれる。

お土産だけじゃなくて、きっと人生においても。

自分のまわりを自分が感じる『美しい』で満たしていけば・・・。

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コメント

たしかにヴェネツィア、「海の都」であるのに、土の匂いを強く感じさせますね。
ハヴァナもそうでした。ハリケーン級の強い風に吹かれても、土の匂いがする。しかも、実際に土を口に含むと、甘いのです。

旅の醍醐味、もうひとつ「迷子になること」もあるのでは…
迷子になった瞬間、その土地も、そして自分もくっきりと見えてくるのは不思議です。

美しさは魅力的ですが、美しいから幸福になれる、というものでもないですよね。
うわべだけでない、自分が本当に求めているものに気付けると、素直にそれがわかると、
本当の意味で幸福になれる気がします。

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